前回（ゑ…描くべきは多様な組織像）、長谷島氏はIT部門に多様化の波が押し寄せていると指摘した。そのなかで、開発スタイルの多様化にIT部門としてどう対応していくのかが、CIOが検討すべき課題として浮かび上がった。今回は、その解決策に踏み込んでいく。

　ヒト・モノ・コトなどをすべてデータ化してビジネスに役立てるデジタルビジネスを支援するには、IT部門もアジャイルな新しい開発スタイルを取り入れる必要があることを、前回説明した。IT部門は、それまで主流だったウォーターフォール型の開発スタイルに加えて、アジャイル開発という新しいスタイルを取り入れることになる。

　IT部門にとって、この変化は劇的だ。劇的な変化に直面すると、人はコンサバティブ（保守的）な反応を取りがちになる。IT部門の担当者にも同じことがいえる。新しい開発スタイルを採用するに当たり、保守的になる傾向がある。

スマートデバイスが後押しするアジャイルの波

　IT部門はこれまで、ビジネスを支えるシステムを確実に開発できるようにするため、標準化を推進し、社内の業務効率化などをもたらすシステム開発に生かしてきた。

　この標準化は一朝一夕でできるものではない。どの企業のIT部門も、「システムを開発し運用に入ってトラブルが起これば、ビジネスに深刻な影響を与える」ことを前提に、時間をかけてそれぞれの開発スタイルを作り上げてきた。