企業経営では「ダイバーシティ(多様性)」というキーワードに注目が集まっている。長谷島氏は、IT部門にも「多様化」の波が押し寄せていると指摘する。ただし、その多様化はIT部門ならではのもののようだ。

 IT部門におけるダイバーシティで最も大きな動きは、仕事の多様化だろう。IT部門が企業に設置された当初は、プログラミングやシステム運用といった労働集約的な仕事が中心だった。

 それが次第に、ビジネスをシステムが支えるようになってきて、システムのデザインをユーザー部門と決めていく要件定義やプロジェクトマネジメントといった仕事が加わり、さらにBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)も担うようになってきた。

 このように仕事が多様化していくなかで、IT部門でも人材の多様化が必要になってくる。そこで「ダイバーシティ経営」の施策の1つでもある、女性の登用をIT部門でも進めたい。

女性CIOは予算獲得がうまい?

 ここに興味深い調査結果がある。米ガートナーが2015年6月に発表した調査で、女性CIO(最高情報責任者)が獲得するIT予算の伸びは、男性CIOに比べて大きいという結果が出た。調査担当者は「女性の方がIT予算の縮小リスクに気づきやすいことがみてとれる」としている。

 労働集約的なIT部門の時代に比べると、IT部門の仕事が多様化する中で女性に向いた、あるいは女性の感性が生かせる仕事が増えてきているという、1つの事例だ。