建築家の仕事を例に挙げて、IT部門のメンバーに「ニーズを踏まえた提案力」を身に付けさせる必要があると、前回(み…三つに分けて難問は解決)指摘した長谷島氏。今回は提案力の本質に迫る。導き出された結果を踏まえて、IT部門のメンバーの提案力を高める「人材育成ティップス」も披露する。

 IT部門のメンバーには、ビジネス部門のニーズを的確に捉えて提案するスキルを身に付けさせていく。これがCIOにとっては重要だ。では、CIOはどうしたら、そのスキルをIT部門のメンバーに身に付けさせることができるだろうか。

 まず、ニーズを捉えて提案するのに必要なことを考え始めよう。それをつかめれば、CIOが取り組むべきことは見えてくるはずだ。

 ビジネス部門のニーズを捉えて、理にかなったものを提案するには、「漠然としたものを翻訳していく力」が必要だ。その力はさらに、「漠然としたものを把握する力」と、「把握したものを翻訳していく的確な判断力」に分けられるだろう。

 前者の「把握する力」を発揮するうえで気を付けたいのは、「ビジネス部門の担当者は業務の専門家。その分野に詳しい専門家の言っていることは、理解が難しい」と惑わされないこと。変な専門性に、だまされないようにすることも大切だ。

 ニーズを話すビジネス部門の担当者がその筋の専門家であっても、「理解は必ずできる」。IT部門のメンバーにこのような自信を持たせて、ニーズの把握に当たらせたい。

 後者の「的確な判断力」については、IT部門の専門である技術に関するものだけでなく、システム全体に常識的かつ良識的な判断を下せるようにすることが欠かせない。ではどうやったら、常識的かつ良識的な判断が下せるだろうか。