CIOとして、どのような人材育成策を講じればよいのか。長谷島氏はビジネス部門とのやり取りを踏まえて、IT部門のメンバーにとっての必須ノウハウを分析し、メンバーの目指すべき姿を描き出す。身に付けるべきスキルは、顧客に高い満足度を与えるうえで、IT業界にとどまらず広く必須のものであることが見えてくる。

 前回(め…目立たない仕事にも高い評価)は「IT部門の人的リソースが不足しているなか、ビジネス部門からシステム関連の案件を要請された」という問題に対して、「リソースが十分確保できなくても実現するには、どうすればよいか」と前向きに捉え、解決すべきだと指摘した。

 この問題の解決策の1つに「チケット方式」がある。様々な案件を1つの窓口で受け付けてチケットを発行し、発行したチケットの順番で案件に対処していくというやり方だ。

 これは一見、理にかなったやり方のようだが、ビジネス視点で考えると、必ずしも理にかなっているとは言えない。「今すぐやらなければならない案件なのに、順番が来ないと対処してくれない」からだ。

 IT部門のメンバーに求められるのは、考え方を変えていくことだ。そもそも案件に対応できない背景には、IT部門側の人的リソース不足などがある。ならばその条件を踏まえて、可能な策を考えなければならない。