若山経営(本社:青森県青森市)は「税理士法人NAVIS」とともに、中小企業の経営安定化を推進する税理士事務所(会計事務所)および経営コンサルタント会社である。同社はその使命を達成するため、他社に先駆けて企業の経営情報を可視化する手法「バランススコアカード(BSC)」のソフトウエア化に成功した。

写真1●若山経営とともに中小企業の経営安定化を推進する税理士法人NAVISの事務所
写真1●若山経営とともに中小企業の経営安定化を推進する税理士法人NAVISの事務所
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写真2●クラウドサービスとして提供する「web軍師」の画面
写真2●クラウドサービスとして提供する「web軍師」の画面
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 BSCのソフト化により、昨今の厳しい経済情勢の中、青森県内の顧客支援を強化するとともに、全国の会計事務所へ事業ネットワークを拡大。各地の会計事務所と、攻めの経営を行う先進事例を共有することにより、日本全国にわたり中小企業の戦略経営を支援している(写真1)。

 BSCのソフト化には、自社開発のパッケージソフト「戦略参謀」と同パッケージソフトをクラウドサービスとして提供する「web軍師」(写真2)の二つがある。若山経営は、それらを活用することで、顧客の財務会計、および管理会計に係る経営情報の可視化を実現。コンサルティングによって顧客のPDCAサイクルを確立し、業務効率化、業務プロセス改善、売り上げ拡大などを支援している。

専門性に特化したコンサルティングへ舵を切る

 2004年の電子申告導入、税理士法改正による報酬自由化、申告書作成ソフトの普及、顧客意識の変化などにより、税理士の役割は大きく変わった。そうした変化を踏まえ、若山経営においても、事業を税務関係の書類作成支援から、より専門性に特化したコンサルティングへ質的に変革することが不可欠だと考えられていた。

 経済情勢が厳しくなるにつれ、経営戦略の策定やPDCAサイクルの確立といったコンサルティングの重要性は増す。商品力や営業力だけの中小零細企業の経営には限界があるためだ。若山経営は、こうした時代の変化を感じており、経営とITを融合した「IT経営」を軸に、専門性に特化したコンサルティングビジネスへ舵を切ったのである。

 しかし同社の当時の事業は、財務会計(過去会計)をベースにした税務関係書類の作成支援が中心だった。管理会計(意思決定会計)を実践し、顧客におけるビジネスの高付加価値化やマネジメントの高度化などにつなげられる人材はいなかった。

 数値計画を主体にした「経営計画のシステム」を活用し、顧客における経営計画の策定支援や、経営会議などにおける目標達成の動機づけなどを行っていたが、計画と実績にかい離がある場合、「言い訳中心の会議」となり、具体的な施策につながらなかったという。

 社内的には、これまでの得意分野を伸ばし、さらなる経営基盤の安定化を図る必要があった。また、社外的にも中小企業の経営者にとって質が高く、実現可能性の高い経営計画と経営の仕組みをサポートし、税務支援と経営コンサルティングを融合しながらITを駆使した新たなビジネスモデルを追求していく必要があった。