前回は、職種によって外資系の内情、実態がどう違うのかについてまとめてみた。外資系の場合、ポジションによってもその実態は大きく違ってくる。今回は、各ポジションによって、採用プロセス、職務内容、評価、報酬などがどう違うのかについて書いてみたい。

外資系はマネージャーが人事権を持つ

 外資系の場合は、日本の大企業のように人事部が大きな人事権をもつことは稀だ。直属のマネージャーや、その上のマネージャーが人事権を持っていることがほとんど。従って、採用時は自分が在籍していた会社の元部下を引っ張ってきたり、自分でスカウトしたりということが多い。

 給与レベルやストックオプション、インセンティブボーナスも、直属マネージャーが判断して上長から承認を得て、決まる場合がほとんどだ。

 営業の場合は、成績さえよければ、多少のネガティブポイント(例えば遅刻や早退、チームワークの悪さ、レポート提出遅れなど)には甘くなるのが実情。要するに数字さえよければ、どこで何をやっていようが(自宅で寝ていようが)関知されない。一方で、営業成績がふるわなくなれば、即「チェンジ」の対象になる。

 エンジニアや管理部門の社員については、総合的な実務パフォーマンスで評価されるため、直属のマネージャーとの信頼関係は非常に重要となる。年代的には、30歳前後までが採用対象となる。

 マネージャーではない部下を持たないスタッフの場合、採用や評価などは各国のカントリーマネージャーレベル(日本法人社長や日本のゼネラルマネジャーなど)で完結する。通常本社側では、スタッフレベルの人事は各国にお任せだ。

 そのため、本社や日本の業績や成長変動により、一律%の削減とか増員とかの会社方針により増減が決まったりする。業績が急激に悪化した場合、真っ先にリストラされる対象になるのも、このレベル中でパフォーマンスが良くないと評価されているスタッフだ。

最近増加中のLinkedIn採用

 外資系の場合、採用時に人材紹介会社が仲介する場合が多い。最近では、ビジネスパーソン向けSNSのLinkedInなどで自分から人材募集に応募したり、英文レジュメを掲載しておいたりする人が、会社や外国人の個人リクルーターから直接コンタクトを受けるケースも増えてきているようだ。特に採用人数の多いスタッフレベルにおいては、Web広告やLinkedInの使用は、今後も増加していくだろう。

 これらのレベルでは、高度な英語力まで求めると人材がいなくなるため、英語力に関してはそれほどハードルを高く設定しない場合が多い。ただし最近では、中国人、台湾人、インド人などで、日本語が流暢なうえに英語レベルも高い人材の応募・採用が急増している。本国の本社は日本人に固執する理由はないため、これからもこの傾向は強くなっていくだろう。

 そうなると、当然、採用や評価においても英語力の優先順位も高くなってくるだろう。やはり、英語力は高ければ高いほど良いというのがホンネだ。