多くの日本人は、数十年にわたり学校教育と社会生活において、他人との協調と調和を強く求められる環境の中で、なるべく目立つことなく強く自己主張せず、「沈黙は金」が美徳として生きてきた。

 実際に日本の大企業や政治の動向をみても、「悲観」「協調」「問題先送り」で、なるべく大過なく物事を進めようとする。

 ところがここにきて、急に「グローバル人材」の要件として、例えば「Yes、Noをはっきり意思表示し、自分の考え方や意見を主張すべき」とか「ミーティングではだまりこんでいないで、臆せず積極的に自分の意見をいうべき」というようなことが言われ出した。

 事前のトレーニングや過去の経験なしに、いきなり多種多様な国や地域の人たちの中に飛び込んで、今までと全く違うモードにスイッチを切り替えて、「やってはいけない」とされてきたことを、不得意な英語を使ってうまく乗り切れる人などいない。少なくとも筆者は、そういう人を知らない。

 ものごとには、「知っている」「理解して腑に落ちている」「無意識のうちにできる」という段階があるといわれている。まず、グローバル標準とは「どういうものなのかを知る」ところからスタートし、様々な経験を経て完全に「自分の中で理解して腑に落とし」、そして実際に何度も自分でやってみないと「無意識のうちにできる」ようにはならないものだ。

 多くの人はすでに、「グローバル標準」と「日本標準」の違いについて、なんとなく知っているレベルにはあるだろう。あとはどう「自分の中で理解して腑に落とし」、トレーニングと経験を積み重ねて「無意識のうちにできる」ようになるかだ。

 今回は、この流れがスムーズにいくように、「グローバル標準OS」をインストールする要件、間違った方向にいかないよう気をつけるべき点など、いくつかあげてみたい。