今年も9月5日から、ベルリンで家電の展示会である「IFA2014」が、また9月12日からアムステルダムで欧州最大の放送機器展である「IBC2014」が開催された。その概要を踏まえて、テレビが向かう方向性と日本市場を考えてみる。

写真1●IFAのソニーブースには4Kテレビしかない
写真1●IFAのソニーブースには4Kテレビしかない
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 IFAでは言うまでもなく、さらに4K化が加速したという話に尽きる。ソニーのブースからはついにHDテレビが消えてしまった。IBCでも4Kはもう当たり前の前提条件ともいうべき状況だった。展示を見ていてもこれまでのようにこれは4Kに対応している旨の表示が必ずあったのだが、もうそれがきちんと表示されていないことも多く、逆に混乱する部分もあった。

 またちょうどIBCの開催に合わせた形で、ソニーがバイアコムとクラウドテレビで提携すると発表した。ソニーが計画する米国でのクラウド経由テレビ配信サービスにおいて合意し、バイアコムが運営するチャンネル提供で協力するという内容である。

ハードウエアの差別化は困難

写真2●楽天グループであるスペインのWuaki.TVはサムスンのテレビに対して4K配信を開始する
写真2●楽天グループであるスペインのWuaki.TVはサムスンのテレビに対して4K配信を開始する
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 これら欧州の2つの展示会から、日本のテレビがどういう対応をするべきなのだろうか。まずテレビというハードウエアは、表示装置としての差別化はなかなか困難であろうということだ。

 4Kや有機ELパネルの多くは中国で生産されている。巨大なマーケットである中国には多くの富裕層が存在し、彼らは大画面、4K、さらに湾曲したテレビが家にあることが少なからずステータスの象徴となっている。この層は、比率はともかく数が大きく、市場を牽引している。

 日本のテレビメーカーの画質と、中国あるいは韓国メーカーの画質の差異はまだまだ日本優位であるのは間違いない。しかし中国市場の大きいことはいいことだという流れが先行して、高画質に関する中国マーケットのプライオリティーは必ずしも高いとは言えない。