阪神電気鉄道は、高度化方式の地域BWA事業の展開に本腰を入れる。既に、グループ会社である阪神ケーブルエンジニアリングが2015年9月14日に本免許を取得した(発表資料へ)。神戸市内で取得した本免許を1カ所のほか、予備免許を4カ所(うち1カ所はグループ会社の姫路ケーブルテレビ)で取得済みである。

 阪神電気鉄道は、これまでも無線通信サービスに先行的に取り組んできた。グループのケーブルテレビ会社であるベイ・コミュニケーションズが地域WiMAX事業に2010年12月に参入、41の基地局を設置してサービスを展開済みである。また、阪急阪神グループの鉄道各駅や商業施設、甲子園球場などにWi-Fi環境を自社グループで整備し、通信3キャリアの契約者が利用できるようにするとともに、2013年12月からはインバウンド向けサービスの提供も始めている。

 その阪神グループがこれまでの経験に基づき、次の展開として、取り組んでいるのが高度化方式の地域BWAである(写真1)。「基地局ごとに免許を取得できる。需要があるところに基地局を設置して、20MHz幅の帯域を活用してその地域に応じたサービスを展開できる」という制度的な特徴を高く評価して、参入を決めたという。阪神グループとして参入するだけでなく、共通で必要となる設備を共用したり事業参入ノウハウなどを開放したりして、全国の地域事業者と連携する形で事業を進めていきたい考えである。

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写真1●大石駅に設置した基地局全景(a)と無線機(b)