NTTドコモとエイベックス通信放送は、エイベックス通信放送が運営し、NTTドコモがdマーケットで提供する定額制映像配信サービスをリニューアルした。2015年4月22日にユーザーインタフェース(UI)を刷新し、サービスブランドを「dTV」に変更した。NTTドコモは、自宅のテレビで簡単に「dTV」を視聴できる専用アダプター「dTVターミナル」を投入した。今回のリブランドを実施した理由や、dTVターミナル投入の考え方などについて、今回はNTTドコモの大島直樹氏に聞いた。

(聞き手は本誌編集長、田中正晴)

もともとdTVは国内トップの動画配信サービスだったと思うが、今回リブランドを行った理由は。

NTTドコモ スマートライフビジネス本部 コンシューマビジネス推進部 デジタルコンテンツサービス担当部長の大島 直樹氏
NTTドコモ スマートライフビジネス本部 コンシューマビジネス推進部 デジタルコンテンツサービス担当部長の大島 直樹氏

大島 NTTドコモとしては、2009年に開局したBee- TVのときから現在のdTVに至るまでずっとエイベックス・グループと共同で、「ケータイで動画を楽しんでもらおう」というコンセプトのもと事業を展開、国内トップの動画配信サービスに成長してきた。作品数も多く、月額500円(税別)で見放題で提供している現状でも競争力は十分に高いと考えている。

 しかし、どんなサービスも万能ではなく、一定の解約が発生する。全体の会員数が多くなれば、それに合わせて解約の数も増える。この結果、次第に会員数の伸びが頭打ちになり、特に2014年度前半など減少するといった状況になったこともある。2014年度後半は販促活動の強化などで会員数は少し増えたが、こうした取り組みと合わせてdビデオをより伸ばすための根本的な議論をエイベックスと始めた。この中で、「スマホ/タブレットだけでは限界がある。既に450万を超えているが、今後500万を超えてさらに伸びていくには壁がある」という認識になった。

 両社で各種調査なども行い議論してきたが、当たり前の答えが出た。世の中の人は動画を何で見ているのかというと、テレビが圧倒的だ。またdビデオの使われ方を見ても、圧倒的に土日、夜間にスマホ/タブレットを使って家の中で見られている。家の中で見ていただくことを考えると「スマホやタブレットに加えて重要なデバイスはテレビだよね」という結論に至った。

 テレビでもスマホでも楽しんでもらうというのが新しいコンセプトだが、スマホについてはdビデオユーザーなどには理解してもらっているので、少し振った形で「dTV」とリブランドした。つまり、リブランドの効果として期待しているのは、「スマホ/タブレットでしか視聴できなかったために400万~500万契約で足踏みしていたのをテレビも利用できるようにすることで、新たな会員を増やす。また、利用シーンの拡大で既存会員の満足度を上げることで解約率を下げ、結果的に会員数が増加する」ことだ。