大手企業の新規事業推進部門とスタートアップ企業の共同事業開発を行うことを目的とする「コトの共創ラボ」が活動を進めている。同ラボは、大手企業とスタートアップ企業とのオープンイノベーション活動をより一層加速させ、両者の課題を解消し、長所を最大化する「共創型事業開発」実現を目指している。2014年夏にオープンイノベーションのイベントを開催するなど以前から活動をしており、2015年3月には一般社団法人として法人化し、同年4月に幹事企業4社体制での活動を開始した。

 幹事企業は、博報堂、NTT西日本、スカパーJSAT、ニフティである。事業共創の機会を提供するなどのサービスを提供するゼロワンブースター(01Booster)は、事務局として同ラボを支援する。このほかに新規事業創出に詳しい専門家も参加している。幹事企業と01Boosterは1カ月に1度、理事会という位置付けの定例会を開催し、「コトの共創ラボ」の活動内容や運営方針について協議する。2015年5月12日の定例会では、日本型のオープイノベーションの勘所などについての議論を行った。

イベントでニフティのサービス普及戦略を議論

 同ラボの運営に参画する幹事企業は1年に1度、自社の事業やサービスを題材にしたイベントを企画し、開催する。他の幹事企業や事務局は、イベントが有意義なものになるように知恵を出したり、協力をしたりする。

 例えばニフティが2015年5月16日に開催したイベントでは、事前にその内容について幹事会社と事務局で約3カ月かけて議論した。その結果ニフティは01Boosterと共同で、ニフティが提供するアダプターを宅内のLANに接続するとVPNを構築できるネットワークサービスの「スマートサーブ」を題材としたイベントを開催することを決定した。5月16日開催のイベントの名称は「スマートサーブ・ストラテジアソン」で、ニフティ社員と社外の選抜メンバーがスマートサーブの普及戦略についてのディスカッションを行った。当日のイベント進行には他の幹事会社も協力した。