業界、業種を問わず、企業のビジネスを取り巻く環境が日々刻々と変化していく中、企業がビジネスを成長させていくに当たって、マーケティングに求められている役割はますます重要度を増している。

 そして、企業のマーケティング活動を実際に手がける、いわゆるマーケッターにとっても、これは、ある種のプレッシャーとなっている。特に進化するテクノロジー、そして、それによって変化する顧客の行動、そのために生み出される新しいマーケティング手法。これらに乗り遅れず対応していくことは、現在のマーケッターたちにとって大きなプレッシャーとなっていると言われている。

 実際、毎年ANA(Association of National Advertisers = 全米広告主協会)が、GfKの協力のもと、その会員企業に向けて実施している調査結果を、マッキンゼー・アンド・カンパニーが分析したリポートによると、この10年は、例えるならば“catch-up”の繰り返し。つまり、絶えず生じる変化の流れをつかむことに終止していると言われている。

 このリポートで、昨年、その変化を象徴していたキーワードは3つ。これらは「Contents(コンテンツ)」「Complexity(複雑性)」「Connected(つながり)」であり、それぞれの頭文字を取って“3C”と呼ばれている。そして今年は、これらの3Cに、もう一つ新たな“C”が加わっている。それは「Competition(競争)」だ。

 これまでは、それぞれの企業が、社会や技術における変化の流れについていくのがやっとという状況だったのだが、ようやく対応できるようになり、今度は競合の動きが気になり始めたというのが、この背景にある。特にデジタルマーケティングの領域では、これまで、ごく一部の先進的な企業と、そのほかの多数の「出遅れている企業」の両極化が目立つ状況にあったが、この1〜2年で「出遅れている企業」の多くが何らかの形で“catch-up”してきたことで、競争が生まれるようになってきた。