毎年10月になると、米国の小売り業界は「ブラック・フライデー(11月第4木曜日の感謝祭翌日の金曜日)」や「サイバー・マンデー(同じく感謝祭の次の月曜日)」などに代表される年末商戦に向けての準備が、一気に本格化してくる。しかし近年は、この秋の風物詩ともいえる動きに、やや変化が見られているようだ。

 先月、米SteelHouse社が発表した調査によると、米国の消費者のおよそ半数(48%)は、サイバー・マンデーより前に年末の買い物をすべて終わらせているという結果になった。これは2013年に同様の調査を実施した時よりも、約40%の上昇となる。

 また、およそ 25%の消費者は「ハロウィーンよりも前から年末の買い物をし始めている」ということも分かっている。つまり、これまで年末商戦の開始を意味していたブラック・フライデーやサイバー・マンデーは、もはや年末商戦の終盤と位置付けられており、代わりにハロウィーンから年末商戦が始まるような動きとなりつつあるのだ。

 このように年末商戦の前倒しが急速に進んできた背景には、小売り業界で消費者の抱え込みが激化してきたという点がある。特に、スマートフォンの急速な普及によって、消費者の多くが、常にオンラインになる、いわゆる「Always On」な状況になった。多くの企業がオンラインを中心に顧客接点を広く持ち、こういった Always On な消費者を少しでも多く抱え込むべく様々な施策を展開してきたため、結果的に年末商戦の時期がどんどん前倒しになってきたと考えられている。

 実際、近年の米国の年末商戦は、モバイルが重要なキーワードとなっている。前述の調査によると、昨年、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスによるEC(電子商取引)売り上げのうち、26%は感謝祭からサイバー・マンデーの5日間でもたらされている。これは前年と比して20%以上の増加となる。