この1年ほどの間に、米国では企業のマーケティング活動を目的としたソーシャルメディアの活用の環境が急速に整備され始めている。FTC(米国連邦取引委員会)が定める「エンドースメント」にFacebookページ(および投稿)に対して“いいね!”ボタンを押させる行為やPinterestなどに自社製品に関する画像や動画を投稿してもらう行為が、その対象としてガイドラインに明記されたこと(関連記事:「いいね!」ボタンを押させる行為を米国連邦取引委員会が明確に規定)や、YouTubeなどに投稿される動画コンテンツでの投稿者と企業間の関係性明示方法などが明文化されたこと(関連記事:企業やYouTuberに暗雲、FTCがガイドラインでTwitterや動画も明確に規定)などは、顕著な例と言ってもいいだろう。

 これらに加えて、先月からまた新たな動きが始まっている。MRC(Media Rating Council=メディア評価評議会)が、ソーシャルメディアの効果測定に関する方法論や指標のいわゆる“業界標準”を定めようとしているのだ。もっとも、この業界標準となるガイドラインは、まだ草案が発表されたばかりで、2015年10月15日までの期間、パブリックコメントを受け付けている。そこから得られたフィードバックをもとに、より洗練されたガイドラインにしていくようだ。

 MRCは、今から50年ほど前に「有効で信頼性が高く、効果のある測定サービスの確保」という目的で、テレビ・ラジオ局、出版社、インターネット企業、広告代理店などによって設立された、メディア調査会社の監査や認定審査する業界団体である。この団体が、今あらためてソーシャルメディアの効果測定の業界標準策定に乗り出したことには大きな意味がある。ソーシャルメディアが、メディアとして大きなインパクトをもたらす存在になったということでもあるからだ。