企業のデジタルマーケティングでの「モバイル」の重要性が語られて久しい。企業のマーケターもその状況を十分に理解しているからこそ、様々なマーケティング施策がモバイルデバイスに向けて展開されている。

 消費者のモバイルデバイスの利用も盛んになってきているが、米国ではそれが特に「アプリの利用」という形で顕著に表れている。2014年8月に米comScoreが発表した「The U.S. Mobile App Report」によると、2013年6月から2014年6月にかけての1年間で、モバイルサイトの延べ閲覧時間は17%の増加にとどまったが、モバイルデバイス用アプリの延べ利用時間は、52%以上の増加を見せているという。

 2014年6月現在の数字で見ると、全モバイルデバイスの利用時間のうちブラウザーの利用時間が占めている割合は、スマートフォンで12%、タブレットで18%しかなく、残りの80~90%に近い時間はアプリの利用に使われているようだ。

 アプリの中で最もよく利用されているのはFacebookで、これが群を抜いて高い。続いてYouTube、Google Playと続く。なおFacebook、Google、Apple、Yahoo、Amazon、そしてeBayの6社が提供しているアプリが、上位10アプリの9つを占めている(ちなみに、これら以外のアプリで唯一ランクインしたのは、米Pandora社のPandora Radioである)。上位50アプリまで範囲を拡げても、そのうちの半分は上記6社が提供するアプリで占められている。

 消費者のアプリ利用時間は長くなっているが、その利用シーンがバリエーションに富んだものになっているかといえば、必ずしもそうではない。最も長い利用時間となっているのが「SNS」で、続いて「ゲーム」、さらに「ラジオ」となっている。

 この3つで消費者のアプリ利用時間全体の半数弱を占めている。その一方で「リテール」、つまりmコマース(モバイルを使うeコマース)に関連するアプリの利用時間は、全体の5%程度にすぎない。