企業がマーケティングのツールとしてソーシャルメディアを活用し始めてから、日本でも5年ほどが経過した。企業のソーシャルメディア活用は、まだまだ発展途上の部分が少なくなく、今後も戦略策定をはじめ体制構築、インフラ整備などを含めて取り組まねばならない課題が多く存在している。

 グローバルにビジネス展開をする企業のCMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)で構成する「CMOカウンシル」は、2014年8月に「State Of Marketing 2014」(2014年のマーケティングの現況)を発表した。これによると、ソーシャルメディアは、今でも企業にとって最も優先度が高い注力分野であるという。

 企業のソーシャルメディアは現在、どういった状況になっているのだろうか。今回は英国のリサーチ会社Useful Social Media社が毎年発表している「The State Of Corporate Social Media」(企業のソーシャルメディアの現況)の2014年版をひも解いてみよう。

 この調査は、北米と欧州を中心に、2014年前半(1~6月)の期間で、500人以上のマーケティング部門の上級職にいるマーケターを対象に実施した。内容は主に、「ソーシャルメディア戦略に対する予算およびリソース配分」、「ソーシャルメディア活用状況」、そして「ソーシャルメディア関連施策における効果測定」の3分野にわたっている。企業のソーシャルメディア戦略が、グローバルでどう動いているかを俯瞰できるものとなっている。

 この調査結果を見て強く感じたのが、「実は企業はソーシャルメディアに対して、予算やリソースをあまり割かなくなっている」という点である。これを象徴するのが以下の3点だ。

  1. 「ソーシャルメディアチーム」が縮小化している傾向にある
  2. ソーシャルメディア戦略に対する予算の増額があまり望めず、全体的に頭打ちの傾向にある
  3. 「ソーシャルメディアにポテンシャルを感じる」と回答している上層部が依然と多い一方で、ソーシャルメディアのインパクトをきちんと証明できていない状況が続いている

 1.について、2年前と比較するとソーシャルメディア専任部門を設ける企業は増加している。2012年の調査時点でソーシャルメディア専任部門を設けていた企業は全体の40%程度だったのだが、2014年の調査では50%と増えている。