テクノロジーの進化によって、オンライン、オフライン問わず、顧客との接点やメディアが激増している現在、消費者の情報接触機会は多様化の一途をたどっている。そのため、企業は消費者に対してマーケティング活動するために、消費者の行動履歴をはじめとした様々なデータをマーケティングに活用するようになった。いかに、「適切な顧客」に対し、「適切な内容」を、「適切なタイミング」で、「適切な顧客接点」を通じてコミュニケーションするか。複数の顧客接点が互いにうまく連携しながら機能するような効果的なキャンペーンの実施が求められている。

 このようにコミュニケーション設計の下で展開されるキャンペーンを「マルチチャネルキャンペーン」と呼ぶことがある。先日、英PR代理店のLewis PRが発表したリポートによると、この「マルチチャネルキャンペーン」は、現在まだ多くの企業にとって「言うは易く行うは難し」なものになってしまっているようだ。

 このリポートは欧米、そしてアジア太平洋地域における企業のCMO(最高マーケティング責任者)をはじめ、マーケティング部門の本部長クラスに相当する約400人を対象に実施した調査をまとめたもの。この調査によると、少なくとも80%以上の企業において「マルチチャネルキャンペーンは、自社のマーケティング戦略において注力すべき活動だ」という回答となっている。ただ、その半分以上は「現在のマーケティングの流行についていくため(32%)」あるいは「上層部からのプレッシャーがあるため(25%)」というものであり、実際に効果を意識しながら実践しているケースは、それほど多いものとはいえない。