2007年に米AppleがiPhoneを発売して以来、スマートフォンの普及率は急上昇を続け、米国では70%に近い数字となっている。米国よりも数字は低いが、日本で50%を超えていることからも言えるように、スマートフォンが日常生活で活用されるシーンは以前と比べると非常に多くなっている。それはeコマース(モバイルを使うeコマースは「mコマース」と呼ぶ)の世界であっても同様だ。

 オランダのモバイル決済会社Adyenは、定期的に「Adyen Mobile Payments Index」という世界のモバイル決済の利用状況調査を発表している。2014年7月に同社が発表した最新版によると、2014年4月から6月にかけて、全世界で取り交わされた決済の約22%はモバイルデバイスで実行されている。これは2013年と比較して33%の増加となる。

 モバイル決済でユーザーが購入したものとして多いのは「旅行」(交通機関のチケットや宿泊施設の予約などを含む)で、全体の約4割の決済がモバイルによってなされている。続いて多いのが(映画やスポーツ、コンサートなどの)「チケット」や「一般消費財」で約30%。さらに「デジタルグッズ」が約25%と続いた。

 モバイル決済をデバイスを切り口に見てみると、全体の55%はスマートフォンによって実行されており、45%がタブレットPCとなっている。モバイル決済そのものはスマートフォンからの割合の方が高いが、1回の平均決済額を見るとタブレットPCからの方が高い傾向にあるようだ。

 さらにPCと比較すると、タブレットPCによる決済額とデスクトップPCによる決済額は、ほとんど変わらなくなってきている。ただしスマートフォンによる決済額が若干少なくなっているという傾向もみえる。

 先ほど挙げた旅行やチケット、一般消費財、デジタルグッズ、そして「ゲーム」(ただしアプリ内課金による決済は除く)を例にした場合、平均決済額はいずれもスマートフォンよりもタブレットPCによる決済が高くなっている。デスクトップPCによる決済額は、これらよりもさらに若干高くなっている。

 例えば一般消費財の場合、スマートフォンによる平均決済額は89ドルだが、タブレットPCによる平均決済額は118ドルと、約30%高い。そしてデスクトップPCでは約140ドル。ほかの商品についても、スマートフォンとタブレットPCを比較すると、おおむね30%程度タブレットPCによる決済額の方が高くなる。さらにタブレットPCとデスクトップPCを比較すると、デスクトップPCの方が15~20%ほど決済額が高まっている傾向にある。