4月24日に発売となる米アップルの腕時計型ウエアラブル端末「Apple Watch」。その予約受け付けや試着が4月10日から可能となり、その熱も一段と高まってきた。これをきっかけに、これまでなかなか本格普及してこなかったウエアラブル端末が、一気に身近なものになってくるだろう。

 ウエアラブル端末の普及によって、私たちの日常生活にも様々な変化が訪れることが予想されているが、その中でもヘルスケア方面への影響は大きなものになるのではないかと考えられている。実際、現時点でもスマートフォンをウエアラブル端末に見立てて、スポーツやエクササイズに役立てようとする多くのアプリがリリースされている。iPhoneでも、iOS 8 以降は「ヘルスケア」アプリが標準搭載されるようになった。Apple Watchでも、心拍数の計測のほか、内蔵されたGPS(全地球測位システム)と加速度センサーによって、消費カロリーや様々な動きを計測・保存できるようになっている。

 このように通信や連携機能を持つウエアラブル端末やスマートフォン用アプリを用いた医療やヘルスケアを「mヘルス」と呼ぶ。米国では、このmヘルスが広く一般に普及している。今年の1月、モバイル端末でヘルスケア関係のアプリを利用している米国成人を対象に実施した調査によると、回答者の半数以上(56%)は、アプリで計測、収集した自分の健康状態に関する情報を、何らかの形で医師と共有しているとされており、20%は、24時間365日共有できる環境を望んでいるとも言われている。また別の調査では、米国のインターネットユーザーの約25%は、通院の際に、健康管理ができる端末(もしくは、そういったアプリがインストールされているモバイル端末)を持参しているとも言われている。

 こうした動きは、医師側からも受け入れられている。実際、「患者の健康状態をきちんと把握するのに役立っている」と回答している医師は80%を超え、特に心臓病や糖尿病などの慢性疾患を持つ患者の治療に役立つと評価されている。また「現在は健康だが、将来的なリスクを抱えている患者予備軍」や「退院したばかりの患者」の健康状態を的確に管理するためにも有効だとされている。