米国時間の3月25日~26日、米フェイスブックはFacebookの開発者向けカンファレンス「F8」を開催した。今年もフェイスブックの新たな試みが数多く発表されたが、企業のマーケティング活動に少なからずインパクトを与えるものがいくつかあった。中でも今後、ソーシャルメディアの位置付けを大きく変えてしまうと予想されるのが「メッセンジャー・プラットフォーム」だ。

 今回発表された「メッセンジャー・プラットフォーム」とは、Facebookメッセンジャーに対し、メッセンジャー用のアプリケーションをサードパーティーの企業や開発者が開発することを可能にするものだ。つまり、現在の単純なチャット機能だけしかなかったメッセンジャーに対し、企業側で様々な付加価値を付けられるようになる。F8に先立ち、フェイスブックはメッセンジャー同士で「友達同士での送金機能」を追加することを発表したばかりだが、今後、決済まで含め、すべてメッセンジャー内で購買行動が完結するような仕組みにまで発展する可能性も考えられるのだ。

 メッセンジャーに関するもので、もう一つ「Businesses on Messenger」というサービスのプレビューが発表されている。これは、企業が顧客とのコミュニケーションにおいて、メッセンジャーをより機能的に活用できるようなサービスだ。たとえばEC(電子商取引)で、レシートの発行から配送状況の通知までの一連のやり取りを、すべてメッセンジャーで完結できるようになる。ほかにも顧客からの要望やクレームなどを、メッセンジャーを通じて直接得られ、また、それに対して直接リアルタイムに回答できるといったことも可能になるだろう。

 実際、メッセンジャーによるカスタマーサポートは、時代のニーズに対応した形ともいえる。これは米国内のデータになるが、企業のカスタマーサポートに寄せられる問い合わせは、あと2〜3年で「non-voice traffic (電話以外の問い合わせ)」が大半を占め、電話による問い合わせは35%程度にまで減ると言われている。