米フェイスブックは2015年1月14日、法人向けサービス「Facebook at Work」のテスト運用を開始した。パイロットプログラムに参加している企業のみアクセスできる限定版でのスタートとなる。

 ここに来てフェイスブックが法人向けサービスを投入した背景には、恐らく「ユーザー数が頭打ちになりつつある」という状況があるからだろう。モバイルを中心とした広告ビジネスは、依然好調に伸びている一方で、ユーザー数の伸びは近年鈍化の傾向にある。

 これは、2013年春に発表された米ピュー研究所の調査や、2014年初頭の米アイ・ストラテジー・ラボの調査、そして同年10月に発表された米投資会社パイパー・ジェフリーの調査などでも大きく指摘されている。その中でも、特に若年層を中心にアクティブなユーザーが減少している状況は、非常に深刻な課題として考えられている。また、機密漏えいや生産性低下が懸念され、職場からの利用を制限されているケースが多いという状況も、依然として変わらない。

 こうした中で、ビジネスパーソンにFacebookをより有効に活用してもらうきっかけとなることを期待されているのがFacebook at Workだ。これは企業向けアカウントを取得している企業に属している従業員が、ニュースフィードを通じて社内で共有される情報を得られるほか、ほかの従業員とグループやメッセージを用いて連絡およびコラボレーションができるとしている。つまり企業内コミュニケーションの機能に限定された「社内SNS」である(図1)。

図1●米フェイスブックが開始した社内SNS「Facebook at Work」
図1●米フェイスブックが開始した社内SNS「Facebook at Work」
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 もちろん既にFacebookを社内SNSとして活用している企業も少なからずあるだろう。特に小規模の企業、あるいはチームやグループにおける内部コミュニケーション手段として、Facebookのグループやメッセージ機能を活用するのは決して珍しくはない。Facebookがあえて法人向けと銘打ったサービスを開始する意味は、大企業、あるいは全社的な利用を前提とした利用を考えると見えてくる。