Q.若手社員の発言が、ベテランの発言のように聞き入れてもらえません

 ウチの会社は広告/宣伝が上手なため、他社と比較をすると魅力的な働き方やオフィスに見えるようなのですが内情は違います。例えば、同じ意見や説明でも若手社員の発言と年次が上の方の発言で受け取る側の対応が異なることが多いのです。社内では利害関係があるためだと思われますが、若い私としてはどうしたらよいのでしょうか。
(年齢:20代、男性、外資系ベンダーのエンジニア)

A.話す相手の「関心」に注意を払いましょう

 同じ内容でも語る人によって受け止め方が違う、というのはよくありますね。コンサルタントである私のところには、社員が言っても社内を説得できないのでそちらにお願いできませんか、という依頼がよくあります。

 これは、人間は五感だけでなく、内的準拠枠、あるいは「知覚フィルター」という第六感を通して理解するからです。「知覚フィルター」とは、人それぞれの独自な意味付けの原理で、その人のものの見方や考え方のことです。

言葉やしぐさの工夫だけでは、受け止め方の差は埋まらない

 ベテランが何か言うと、「ベテラン」という事実が知覚フィルターにかかり、「ベテランの言うことは経験に裏打ちされているので信用できる」と受け取られます。ましてや私のような社外のベテランコンサルタントが言えばさらに強烈に「信用、客観性」という知覚フィルターにかかります(図1)。

図1●知覚フィルター
図1●知覚フィルター
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 一方、同じことを若者が言うと通りにくいのは、「何を偉そうにこの若造が」という知覚フィルターにかかるからです(図2)。これは外資系、日系を問わず同じです。

図2●若者と知覚フィルター
図2●若者と知覚フィルター
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 つまり、受け止める側は、伝える側の言葉、態度、しぐさといった外面だけでなく、伝える側の経験に基づいた価値観のような内面のバックグラウンドを、受け取る側である自分の「知覚フィルター」を通して照らし合わせたうえで理解しているのです。

 若者は経験が少ないのでバックグランドが受け取る側より小さいため、言葉や態度やしぐさがベテランと同じでも正しく受け取られないのです。これが伝える内容が同じでも伝わり方が違うことの理屈です。