経済産業省は2016年12月10日、同省によるイノベーター育成事業「始動 Next Innovator 2016」の国内プログラムを終えた。最終発表会を六本木ヒルズ森タワー(東京・港)で開き、米国シリコンバレーとイスラエルへの派遣者、それぞれ20人と10人を発表した。

参加者と関係者による集合写真
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 同事業は、イノベーターに必要なスキルとマインドセットの修得を目指す研修プログラム。今回は2015年に続く2回目の開催となる。2016年も100人を超えるイノベーター候補生が参加しており、国内の複数都市でのワークショップを経て、それぞれが実行あるいは温めている事業案をブラッシュアップしてきた。

 2016年12月10日は数室に分かれて審査員を前に最終プレゼンテーションを実施、選考を経て派遣者が決定した。起業が盛んなそれぞれの派遣地で2017年初頭にメンタリングを受け、さらに事業案をブラッシュアップする予定である。

シリコンバレーとイスラエルの派遣者の一覧
シリコンバレーとイスラエルの派遣者の一覧
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 同事業に参加したイノベーター候補生は大手企業の新規事業担当者が多く、全体の半数以上を占める。そこにベンチャー企業の創業者、自治体や公共機関の新事業担当者らが加わる。

 彼らが推進するテーマは、医療・健康、介護、スポーツ、金融など多岐に渡る。新規事業担当者がどこに問題意識を持ち、何を改善しようとしているのか。それを横断的に見るのは実に興味深い。

医療・健康分野でのアイデアに提案集まる――シリコンバレー派遣組

 シリコンバレー派遣者の事業アイデアを見ると、多くを占めるのが医療・健康分野だ。多くのイノベーターが、この分野に問題意識を持ち、何らかの解決策を示そうとしていることが分かる。

 例えば、G-TACの植松正太郎氏が提案する「ゲノム・パーソナル医療推進」。医師を通じてゲノム情報を診断や治療に生かす「ゲノム医療」により、疾患や疾患リスクの特定を目指す。病気の原因を早期に特定することで、深刻化する医療費拡大の抑制につなげたいとする。

 遺伝子治療により、睡眠障害の克服を図ろうというのがカネカの西輝之氏の提案。「時計タンパク質」を制御することで、狂ってしまった体内時計を本来の正常な状態に戻すことにより実現できるという。