「深層学習(ディープラーニング)とコグニティブ・サービスで社会を変える」。日本マイクロソフト技術統括室執行役員の榊原彰 最高技術責任者は、同社のAI技術が立体映像用ヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」と組み合わせて使うことで生活や仕事にイノベーションをもたらすと語る。東京・目黒のウェスティンホテル東京で2016年11月24日に開催した「第2回イノベーターズサミット」(日経BP社 日経ITイノベーターズ主催)で同氏は、個人や企業向けに提供する同社のサービス例を挙げた。

日本マイクロソフト技術統括室執行役員の榊原彰 最高技術責任者
日本マイクロソフト技術統括室執行役員の榊原彰 最高技術責任者
(撮影:井上 裕康)
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 榊原氏は、HoloLensで生活を変えられる例として、視覚障害者を支援するシステム開発を紹介した。視覚障害を持つ男性がHoloLensのような眼鏡を身につけることで、間接的ながら視覚的な情報”を得られるようになる。眼鏡に内蔵したカメラとイヤフォン、通信機能から周囲の状況を画像認識技術で把握できる。

 眼鏡に内蔵したカメラで風景を撮影すると、深層学習で画像を認識して状況を文章データに変換し、音声情報としてイヤフォンから聞くことができる。例えば街中で騒音が聞こえてくると「近くで少年がスケートボードをしている」といったり、レストランでメニュー表を眺めると「前菜にはこんな料理が、主食には・・・」といったように説明してくれる。榊原氏は「この事例はまだ商用化していないが、技術的には既に実現可能だ」という。

 HoloLensで仕事を変える例としてマイクロソフトは、独ティッセンクルップの導入事例を挙げる。ティッセンクルップでは2016年9月にHoloLens採用を発表し、技術者の作業の効率化を図っている。AR(拡張現実)で実際の風景に作業手順などを示したホログラムを重ねあわせることで、仕事時間の短縮を検証できたとしている。

独ティッセンクルップがHoloLensを使って業務を改善するコンセプト
独ティッセンクルップがHoloLensを使って業務を改善するコンセプト
(出所:日本マイクロソフト)
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 マイクロソフトは、「AI(人工知能)の民主化」を掲げ、クラウドを介してさまざまなAI技術を提供する。榊原氏は例として、深層学習の開発ツールである「Cognitive Tool Kit」や機械学習機能である「Azure Machine Learning」、認識APIなどを提供する「Cognitive Service」などを紹介した。「テクノロジーを活用してイノベーションを増やし、ビジネス変革を加速していく」(榊原氏)という。

■変更履歴
日付を追記しました。本文は追記済みです。 [2016/12/26 19:00]