Amazon Web Services(AWS)が機械学習のサービスで攻勢を掛けている。2017年11月27日から12月1日にかけて開催した年次カンファレンス「re:Invent 2017」で、五つの新サービスを一挙に投入した。

 プログラムの対話型実行環境Jupyter Notebookを備え、機械学習モデルの組み上げ、学習、配置、実行までを一貫して行える「Amazon SageMaker」、文章からキーフレーズを抽出したり登場する言葉を分類したりする「Amazon Comprehend」、文章を翻訳する「Amazon Translate」、テープ起こしの「Amazon Transcribe」、動画に写っているものや内容を認識する「Amazon Rekognition Video」だ。

 最初のSageMakerはApache MXNetなどの機械学習フレームワークを導入して使う汎用的な機械学習モデルの開発実行環境で、残りの四つは特定の機能に特化した学習済みAI(人工知能)サービスである。

表●AWSの機械学習サービス(青地が新サービス)
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表●AWSの機械学習サービス(青地が新サービス)

 従来のAWSの機械学習サービスは、仮想マシンやコンテナに機械学習フレームワークを導入する利用方法を除けば、分類・予測の機械学習モデルを提供する「Amazon Machine Learning(ML)」、テキスト読み上げの「Amazon Polly」、画像認識の「Amazon Rekognition」、音声をテキスト変換したり意図を認識したりする「Amazon Lex」の4サービスだった。

 しかも最後のLexは、自然な言葉で会話するチャットボットの開発で中核となるサービスだが、米国英語にしか対応しておらず日本語は使えない。そのため日本のユーザー企業にとって、AWSの機械学習サービスは実質的に三つ。AWSは競合クラウドベンダーに水をあけられていた。