トヨタが進めるデジタル変革の波が自動車保険にも及び始めた。あいおいニッセイ同和損害保険の「タフ・つながるクルマの保険」はトヨタの「コネクテッドカー」が集めた情報を活用する初の自動車保険。急加速や急減速、走行速度などを分析し、安全運転なら保険料を割り引く。2018年1月以降発売の「レクサス」と同年夏以降発売の「クラウン」の一部が対象となる。

 コネクテッドカーの電子制御ユニット(ECU)が出力するデータを集める。車載機器の「DCM(専用通信機)」と携帯電話回線を介してトヨタの用意するクラウド「トヨタスマートセンター」にデータを送り、保険料の算出に使う。DCMを利用するには年1万2960円の料金が別途かかる。

 あいおいニッセイ同和損保はトヨタが提供する情報基盤のいわばユーザーとなる。あいおいニッセイ同和損保の梅田傑商品企画部企画グループ担当次長は開発にあたり「2015年ごろから両社が収集してきた数万台の自動車のデータと事故情報を匿名化した上で組み合わせた」と話す。これらを分析して、どんな運転が事故につながるかを導き出すアルゴリズムを構築した。

安全運転なら保険料を割り引く
安全運転なら保険料を割り引く
運転の挙動を自動車保険に反映する仕組み
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 カーナビの位置情報も利用する。同じ急加速や急減速のデータでも、高速道路と一般道では安全運転かどうかの判定に違いが出るからだ。

 保険料は基本保険料と運転分保険料からなり、安全運転かどうかは100点満点のスコアで評価する。加えて、保険料の料金テーブルは1キロメートル刻みの走行距離に応じて月ごとに変化する。例えば、年間走行距離が8000キロメートルで10等級、安全運転スコアが80点以上の場合、運転分保険料に対して最大80%の割り引きが月払い時の翌月の保険料に適用される。