大手モバイル通信事業者がドローン(無人飛行機)を使ったサービス開発や事業化を加速している。KDDI、ソフトバンク、NTTドコモはそれぞれ、モバイル通信ネットワークを利用した実証実験やサービス開発を進める。無線LANなどではできなかった広範囲の遠隔操作を可能にし、利用範囲や用途の拡大を狙う。
企業 | 時期 | 取り組みの内容 |
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KDDI | 2016年12月 | モバイル通信ネットワークを利用した事業についてプロドローン、ゼンリンと提携 |
ソフトバンク | 2016年12月 | ドローンを使った無線中継システムの実証実験。山岳やスキー場での遭難者救助に利用 |
NTTドコモ | 2016年10月 | ドローンを使った画像、機体の状態、位置情報などのデータ収集、遠隔制御などの実証実験プロジェクトを本格的に開始 |
LTEなどのモバイルネットワークを使うと通信できる範囲が全国規模に広がり、より遠隔からの操縦が可能になる。現行の国内のドローンの操縦では、無線LANを利用するものがほとんど。操縦可能な範囲は、直接電波が届く距離に限定される。専用の通信機を使って通信距離を数百メートル~数キロメートルが限界だ。
ドローンの用途は、搭載カメラを使った画像データの収集が有力である。特に橋梁などの大型施設の点検や、農業用地での農作物の生育調査、災害時の現地調査といった用途では、操作可能な距離が延びれば、より利便性が高まる。
200キロメートル離れた地点から遠隔操作
「LTEや5G(第5世代移動通信システム)といったモバイルネットワークを使って、ドローンの遠隔操作が可能になる」。KDDIの山本泰英執行役員常務 商品・CS統括本部長はこう話す。
KDDIは2016年12月19日、産業用ドローンの開発や製造を手掛けるプロドローン(愛知県・名古屋市)、ゼンリンと業務提携すると発表した。3社は大型施設の検査や農業、災害時の救助といった用途で利用できるサービスの提供基盤「スマートドローンプラットフォーム」の開発を進め、商用化を目指す。
スマートドローンプラットフォームは、ドローンの機体、3次元地図データ、運行管理、クラウドなどのサービスで構成される。プロドローンが開発する機体にLTEモジュールなどを搭載し、遠隔からの作業を可能にする。