厚生労働省は2015年12月10日、マイナンバー制度で希望者に無償で配る個人番号カードを利用して、オンラインで被保険者資格を確認できる仕組みの整備などを求めた有識者会議の報告書を公表した。報告書の内容は2018年度から段階的に運用を開始して、2020年の本格運用を目指す()。

図●医療等分野における識別子(ID)の活用(イメージ)
図●医療等分野における識別子(ID)の活用(イメージ)
出所:厚生労働省「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」報告書(概要)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000106604.html)
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 報告書は、2014年5月から約1年半に渡って開催された、有識者による「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」での議論を踏まえてまとめられた(写真)。

写真●2015年11月の「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」の模様
写真●2015年11月の「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」の模様
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 報告書によると、医療や介護などの分野で複数の医療・介護機関が特定の個人の情報の照会・突合をする必要がある場合、氏名や生年月日といった個人が特定されやすい文字を使うのは情報検索が困難で、個人情報の漏洩の恐れも大きいと指摘。「番号や電磁的符号などの識別子(ID)を用いて紹介する方法が安全・確実」とした。

 その上で、複数地域の医療・介護事業者らがIDを使って連携することや、健康・医療分野での大規模な分析研究ができるほか、国民自らが健康・医療の履歴の管理などにIDを使って健康増進に活用することが期待されるとした。

 マイナンバー制度では、2017年7月から行政機関や地方自治体などが数百桁からなる機関別符号を使って、それぞれの行政機関のシステムにある個人情報のデータを照会できる。しかし、医療機関などが医療情報を連携できる仕組みにはなっていない。