2018年はコンビニエンスストア業界にとって、大きな転換期になる。見た目で分かりやすい変化は、POS(販売時点情報管理)レジの刷新だ。

 セブン-イレブン・ジャパンとファミリーマート、ローソンの大手3社がまるでタイミングを合わせたかのように、2017年後半から一斉にPOSレジを新型機に替え始めた。セブンイレブンとファミリーマートは2018年中に、ローソンは2019年初めまでにPOSレジの切り替えを完了する計画である。

 各社の新型レジに共通するキーワードは「省力化」。人手不足を背景に店員の確保はますます難しくなっている。にもかかわらず、今後も出店は続ける。そこで少しでも店員の負担を減らそうと、コンビニ各社は躍起になっている。コンビニで扱うサービスや決済手段が増え続けるなか、それでもレジ機能は可能な限り簡素化し、不慣れな店員にも分かりやすく、かつ間違いが起きにくいように工夫を凝らしている。

 なかでも、一番大きく「変わった」と思えるのがローソンのレジだろう。これまでのレジには必ずあったキーボタンをなくし、タッチパネル型のディスプレーでの操作に変更した。顧客側にも同じ大きさのタッチパネルを置くので、まるでiPadを細長くしたようなタブレットが顧客側と店員側に1台ずつ、背中合わせに付いたような形状をしている。

ローソンが2017年11月から導入を始めた新型レジ。タッチパネル型のディスプレーが背中合わせに2つ付いた構造。レジ下には自動釣り銭機がある
ローソンが2017年11月から導入を始めた新型レジ。タッチパネル型のディスプレーが背中合わせに2つ付いた構造。レジ下には自動釣り銭機がある
[画像のクリックで拡大表示]

 さらにレジの下には、コンビニ向けにグローリーが開発した小型の自動釣り銭機を初導入。店員がお釣りを間違わずに顧客に確実に渡すという手間と不安を取り除いた。ローソンの加盟店からは早くも自動釣り銭機を評価する声が出始めているといい、導入を待ちかねている店舗もあるという。

さらにその先のレジを検証し始めたローソン

 2017年11月に、大手3社のなかでは一番遅く新型レジの刷新作業を始めたローソン。そんなローソンは、まだ新型レジがほとんど導入されてもいない12月初旬に、10月に開設したばかりの次世代店舗の実験場「ローソン オープンイノベーションセンター(ローソンイノベーションラボ)」の内覧会を開催した。

 ローソンは早くも新型レジのさらに先を見据えて、オープンイノベーションセンターで様々な検証を始めている。そして2018年春にも、実際の店舗で実験を始める計画である。

 狙いはさらなる省力化の追求と接客の向上だ。実現手段として、最も注目されているのが次世代の「無人レジ(セルフレジ)」である。現在ラボでは従来からあるセルフレジを進化させた、複数の無人レジを検証している。

 1つめは、パナソニックが開発した「レジロボ」。2つめは、顧客のスマートフォンアプリで商品のバーコードを読み取る「スマホ決済」、3つめは、商品に貼り付けたICタグと店舗の出口に設置してICタグを読み取るゲートを用いた「ゲート決済」である。

 レジロボは大阪にあるローソンの実験店「ローソンパナソニック前店」で、2017年2月に現場検証を実施済みだ。このときは手作業で商品にICタグを貼り付けた。顧客は専用のかご「スマートバスケット」に買いたい商品を入れる。レジロボの所定の位置にスマートバスケットを置くと、レジロボがICタグを全部読み取って合計金額を計算。顧客は店員を介さず、会計を済ませられる。しかもレジロボは購入した商品をレジ袋に入れてくれる機能まで備える。

パナソニックが開発した「レジロボ」。商品を入れたかごを置くとICタグを一気に読み取り、合計金額を計算。袋詰めまでしてくれる
パナソニックが開発した「レジロボ」。商品を入れたかごを置くとICタグを一気に読み取り、合計金額を計算。袋詰めまでしてくれる
[画像のクリックで拡大表示]