ネット会議システムなどを手掛けるブイキューブが、教育におけるIT活用、いわゆる「EdTech」分野での事業展開を加速させている。2015年10月5日に、シンガポールで学習管理システム(LMS)などの教育サービスを展開するウィズラーン・テクノロジーズ(Wizlearn Technologies)を買収すると発表(関連記事:ブイキューブがシンガポールの教育ICT企業を約17億円で買収、中国展開狙う)。2015年12月9日には、国内で企業向けeラーニングサービスなどを運営するシステム・テクノロジー・アイに対する株式公開買付け(TOB)を完了したと発表した。

 1998年に創業し、急成長を遂げたブイキューブ。2013年に東証マザーズに株式上場し、2015年7月には東証一部に市場を変更した。

写真●ブイキューブの間下直晃代表取締役社長 CEO
写真●ブイキューブの間下直晃代表取締役社長 CEO
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 その中核事業であるネット会議システムと教育サービスは、一見つながりが薄いように思える。だが間下直晃代表取締役社長CEO(最高経営責任者)は、高いシナジー効果を見込む(写真)。ネット会議による双方向型の授業と、LMSやeラーニングなどの学習システムを組み合わせることで、「より高い学習効果が生まれる」(間下氏)ためだ。同氏は、「アジアの教育ITインフラのデファクトスタンダードになる」と意気込む。

教育プラットフォームとしてのピースをそろえる

 これまでも、ブイキューブのネット会議システムは企業内教育で活用されてきた。例えば金融系企業がネット会議を使って社員向けの資格取得講座を対面授業型で実施したところ、合格率が従来の3倍に向上したといった実績があるという。

 学校などの文教市場では、2014年に子会社化したパイオニアVC(当時の社名はパイオニアソリューションズ)が強みを持つ(関連記事:ブイキューブ、パイオニア系テレビ会議ベンダーを子会社化)。電子黒板や授業支援システムなどをそろえる。全県立高校でパソコン活用を始めた佐賀県をはじめ、国内の多くの教育現場が同社製品を導入する。

 ただ、教育市場で広くサービスを展開しようとすると「学習管理や、教師の校務支援などの製品群が足りなかった」(間下氏)。ウィズラーン・テクノロジーズとシステム・テクノロジー・アイを傘下に収めることで、この領域のラインアップを拡充する。