「FREETEL」ブランドで格安スマホ事業を展開していたプラスワン・マーケティング。通信事業を楽天に譲渡したのに続いて、2017年12月4日、再起を目指した端末事業でも資金繰りが悪化したとして、民事再生法の適用を申請した。

 これを「FREETELショック」とすれば、2017年10月には「ドコモショック」もあった。格安スマホに回線を提供するNTTドコモは2017年4~9月期決算で純増数の通期予想を従前の220万件から130万件に下方修正。同社幹部によると、格安スマホの純増分は2017年4~6月期、7~9月期ともに前年同期比で半分程度に落ち込んだ。下方修正は格安スマホの失速が理由という。

NTTドコモの2017年4~9月期の純増数。通信モジュールと格安スマホの落ち込みが原因で前年同期に比べて約76%減となった
NTTドコモの2017年4~9月期の純増数。通信モジュールと格安スマホの落ち込みが原因で前年同期に比べて約76%減となった
[画像のクリックで拡大表示]

 携帯電話大手3社はサブブランドを含め、格安スマホ対抗を強化しており、この影響がじわじわと出てきた。大手3社で鼻息が荒いのは、2017年7月に新料金プラン「auピタットプラン/フラットプラン」を投入したKDDI(au)。料金面で格安スマホに対抗する余地が高まり、端末やサービスの充実度で勝てるとにらむ。NTTドコモやソフトバンクに対しても料金の安さで優位に立てると考えており、「どこにも劣位はない」と巻き返しに自信を見せる。

 これまでイケイケだった格安スマホ市場に暗雲が漂い始めた格好だが、依然として勢いよく伸びている格安スマホ事業者もある。「携帯電話大手の格安スマホ対抗はひしひしと感じるが、需要が落ちてきた印象は受けない」(中堅の格安スマホ事業者)といった声も聞こえる。格安スマホ市場で一体何が起こっているのか。

「勝ち組」が鮮明に

 調査会社のMMDLabo(MMD研究所)が2017年11月に開催した「MVNO勉強会」。MVNO(仮想移動体通信事業者)とは、携帯電話事業者から回線を借りて格安スマホを提供する事業者のこと。「mineo」ブランドでサービスを展開するケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループの上田晃穂グループマネージャーは2018年の業界展望を問われ、「(格安スマホの)優勝劣敗がはっきりするのではないか」とした。

 実は、これこそが今まさに起こっている現象になる。「勝ち組」は契約数を順調に伸ばしているが、それ以外は大手3社の巻き返しを受け、勢いが落ちている。NTTドコモは多くの格安スマホ事業者の回線提供元であり、影響をもろに受けた。