「マークさんはいつも無茶な依頼をしてくる。ここに呼ばれたのも2~3週間前のこと。私のスケジュールは1年前から埋まり始めるというのに……」

写真1●米セールスフォース・ドットコム主催のイベントで対談する同社のマーク・ベニオフ会長兼CEO(右)と、トヨタ自動車の豊田章男代表取締役社長
写真1●米セールスフォース・ドットコム主催のイベントで対談する同社のマーク・ベニオフ会長兼CEO(右)と、トヨタ自動車の豊田章男代表取締役社長
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 トヨタ自動車の豊田章男代表取締役社長は、冗談めかしてこう話した。2014年12月4日、米セールスフォース・ドットコムが東京都内のホテルで開催した顧客企業向けイベント「Salesforce World Tour Tokyo」での一幕だ(写真1、関連記事:「顧客との関係強化こそ勝ち残りの鍵」、セールスフォースのベニオフCEO)。

 豊田社長は、過去にもセールスフォースのイベントに登場している。「マークさん」と呼ぶセールスフォースのマーク・ベニオフ会長兼CEOとの親密ぶりは、広く知られている(関連記事:「起業家育成の意識が足りない」とセールスフォースCEO、トヨタ社長も飛び入り)。

 この日も、豊田社長は「マークさんに無茶な依頼をされても、それに応じたくなる不思議な魅力がある。ソーシャルメディアのすばらしさもマークさんから教わった。経営者としていろいろなアドバイスをもらっている」と述べ、ベニオフCEOに最大限の賛辞を贈っていた。

 実はセールスフォースは、自動車業界向けの情報システムで攻勢をかけている。ディーラーやサプライヤーを含めた業界全体を支援し、商機を拡大しようとしているのだ。トヨタとの良好な関係の維持は、その大きな推進力の一つである。