三井住友銀行が生命保険申し込みの電子化を進めている。同行が代理店として取り扱う保険会社10社に、仕様を統一した電子申し込みシステムの開発を依頼。申し込み時の記入不備を減らしたり、契約に至るまでの期間を短縮したりする効果を狙う。10社中6社が10月までに対応を完了、残り4社も対応を急ぐ。こうした取り組みはメガバンクで初めてだ。

 三井住友銀行がその標準仕様として採用したのは三井住友海上あいおい生命が2015年7月から本格導入した「ペーパーレス申込手続きシステム」。約16億円をかけてSCSK、NTTデータ、MS&ADシステムズ、キャピタル・アセット・プランニング、日本IBM、プリマジェストなどが開発した。Webブラウザーを利用するため、端末やOSに関係なく使える点が特徴だ。

 入力漏れがあると申し込み手続きが完了しない仕組みになっているほか、保険証券に表示される項目を拡大する機能など誤記を防ぐ仕組みを搭載。タブレット上で電子自署を記入でき、複数の契約を申し込んだときも一度の記入で済むようにした。傷病名に応じて、必要な質問が対話形式で表示されるなどで、正確な記入が可能になるという。

あいおい生命が競合に仕様公開

 三井住友海上あいおい生命は、その効果を2015年7月の1カ月間調査した。保険申し込みの事務処理日数は「書面が5.6日だったのに対し、同システム利用の場合は2.5日に短縮した」(同社)。書類の不備発生率も、書面が6.4%だったのに対し、同システム利用では3.9%に減少したという。

 三井住友海上あいおい生命はペーパーレス申込手続きシステムの操作方法や画面の遷移などの仕様を三井住友銀行が取り扱う保険会社に公開。各社がその仕様に則って開発し、既に10月19日から住友生命、三井生命、ソニーライフ・エイゴン生命などの保険会社がシステムを稼働させている。今後、日本生命やアメリカンファミリー生命、第一フロンティア生命などがシステム開発を進めて順次対応していく予定だ。

図●三井住友銀行が採用した保険会社共通の電子申し込みシステムの稼働状況
図●三井住友銀行が採用した保険会社共通の電子申し込みシステムの稼働状況
保険会社間の仕様を共通化し、迅速な申し込みが可能に
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