写真1●NECの漏水監視サービスで用いる振動センサー。強力な磁石を内蔵しており、水道管の金属露出部分に取り付ける
写真1●NECの漏水監視サービスで用いる振動センサー。強力な磁石を内蔵しており、水道管の金属露出部分に取り付ける
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 NECが新たな収益源として、水道管の「漏水監視サービス」の強化を急いでいる。2014年9月にサービスを開始し、11月には米国テキサス州立大学と水保全管理技術の分野で提携。同大学と手を組み、米国の複数都市で漏水監視サービスの実証実験を進める。同社は漏水監視サービスを国内に限らず、世界中で売り込む計画だ。

 同社の漏水監視サービスは、水道管にセンサーを設置して、振動データを収集・分析し、漏水していないかどうかを素早く検知するためのものだ。センサーを水道管の消火栓や分岐栓に約200メートル間隔で設置すれば、現場に出向かなくても、遠隔地で漏水状況の深刻度合いを把握できる(写真1)。

 「漏水箇所を1メートル以内の精度でピンポイントで把握できる」(NECの福島慶交通・都市基盤事業部第二システム部部長)。担当者が、漏水監視サービスの管理画面上の地図を見れば、どの水道管を優先して修理すべきかが一目で分かる仕組みだ(写真2)。漏水監視サービスを使えば、「甚大な被害が出る前に、効率的に修理できるようになる」(同)。

写真2●漏水監視サービスでは、深刻度の高い漏水箇所を地図画面で一覧できる
写真2●漏水監視サービスでは、深刻度の高い漏水箇所を地図画面で一覧できる
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 現状の水道管の点検方法は、人手に頼っている部分が多い。熟練の保守担当者が専用器具を使って、漏水音や振動を確認している。「担当者が直接現場に行かねばならないので、広範囲を点検するのが難しく、多少漏水していても数カ月間、放置されることも少なくない」(福島部長)。