日経BPイノベーションICT研究所と日経コンピュータ主催の「日経BPアジアICTカンファレンス2016 in ジャカルタ」が2016年11月1日に、InterContinental Jakarta Midplazaで開催された。

 同カンファレンスはASEAN(東南アジア諸国連合)に進出している日系企業を対象に、現地の経済動向やICTの最新ソリューションを紹介するもので、ジャカルタでの開催は3回目である。

 今回のテーマは「ASEAN経済共同体(AEC)の発足で、さらに加速するアジアビジネス」である。

インドネシア経済は緩やかに回復、2016年のGDP成長率は5.0%

 基調講演は三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店副支店長の益山剛史氏(写真1)とMU(三菱UFJ)リサーチ・アンド・コンサルティング・インドネシア社長の沢雄一氏(写真2)が登壇。「インドネシア経済の現状と展望」と題してマクロの分析と現地での肌感覚を織り交ぜて解説した。

写真1●三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店の益山剛史副支店長
写真1●三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店の益山剛史副支店長
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写真2●MUリサーチ・アンド・コンサルティング・インドネシアの沢雄一社長
写真2●MUリサーチ・アンド・コンサルティング・インドネシアの沢雄一社長
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 益山氏によると、インドネシアの2016年第2四半期の実質GDP成長率は前年比5.2%であり、回復傾向にある。2000年半ば以降、高い成長率が続いたが、ここ数年はインフレの加速や金利高、国内の供給不足、資源価格の下落、中国経済の減速などによって成長率が鈍化し、2015年の実質GDP成長率は4.8%と6年ぶりの低水準になった。

 例えば自動車販売台数について見ると、2014年以降失速し、2年連続で前年割れになったという。「しかし、2015年を底に緩やかに回復しつつあり、2016年の実質GDP成長率は5.0%、2017年には5.1%へ小幅上昇する見通し」と益山氏は話す。

 また、日系企業のインドネシア向け投資についても言及。投資額はリーマンショック後に大きく拡大し、2015年には4309億円と2010年の10倍超に達したという。ただ、足もとは過去の大型投資の反動や2014年以降の景気減速などを受けて、自動車を中心とした機械系製造業や金融・保険といった業種で投資が一服している状況と、益山氏は分析。中長期的な成長余力は疑いようがないが、景気減速や人件費高騰、通貨安、金利高といったビジネスの難しさも顕在化してきていると、指摘する。