セブン&アイ・ホールディングスがネットと小売りを融合させた「オムニチャネル」へ動き出した。グループ横断サイト「omni7(オムニセブン)」を11月1日に開設。スーパーや専門店の商品をコンビニ店頭で受け取れるサービスを始めた。ただしこれは初めの一歩。同社CIO(最高情報責任者)の鈴木康弘氏は「店舗とECの融合をさらに進め、いつでもどこでも商品を届けられる体制を築く」と話す。同社にとって「第三の革新」と呼ぶオムニ戦略を基軸に、デジタル技術と小売りを掛け合わせた「リテールテック企業」を目指す。

 第三の革新――。セブン&アイ・ホールディングスは、「オムニチャネル」戦略の第一弾となるグループ横断ECサイト「omni7(オムニセブン)」を11月1日に開設した(写真1)。顧客は、同社が展開するスーパーや複数の専門店の商品をコンビニの店頭で受け取れるようになった。

写真1●セブン&アイグループの横断ECサイト「omni7」
写真1●セブン&アイグループの横断ECサイト「omni7」
出所:セブン&アイ・ホールディングス提供
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 同社の狙いは、リアル店舗の顧客にはECサイトの利用を促し、ECサイトの利用者にはリアルな店舗に足を運んでもらうことだ。omni7は、リアルとネットの顧客を相互集客するための新しい仕掛けである。

 「(omni7の開設は)完成形ではなく、初めの一歩」。セブン&アイHDでCIOを務める鈴木康弘取締役執行役員(写真2)はこう話す。「店舗とECの融合をさらに進め、顧客にとって利便性の高いサービスの実現を追求し続ける。テクノロジーを駆使した小売業、いわば『リテールテック企業』を目指す」。鈴木CIOはこう意気込む。

写真2●「グループ内で顧客を循環させる流れを作る」と語る鈴木CIO
写真2●「グループ内で顧客を循環させる流れを作る」と語る鈴木CIO
写真:陶山 勉
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 セブン&アイにとってオムニチャネル戦略は、単なる新たなシステム投資ではなく、創業以来3度目の経営革新と位置づける。最初の革新は、24時間営業というコンビニエンスストア「セブン-イレブン」を開業したこと。第二は高級感を打ち出したプライベートブランド商品「セブンプレミアム」の発売である。いずれも業界の常識を覆すことで成長を続けてきた。

業態横断で「世界初」の取り組み

 二つの革新に続き、成長の起爆剤となるかどうかに注目が集まるオムニチャネル戦略。新たに開設したomni7は、百貨店ブランドの「西武」や「そごう」、スーパーの「イトーヨーカドー」、専門店の「ロフト」や「赤ちゃん本舗」などグループ各社のECサイトを統合したもの。omni7にアクセスした顧客は、同一のアカウントで各店が扱う商品を購入できる。