横浜市に台風19号が接近した2014年10月13日20時前、約370万人が住む市内のほぼ全域の携帯電話に、避難準備を呼びかける「緊急速報メール」が配信された。「横浜市内で土砂災害の恐れがある。対象地区は横浜市のホームページに掲載している」という内容だった。ところが、Webサイトにアクセスして詳細を見ようとしても、アクセスできない状況が長時間続いた。

 なぜこのような事態に陥ったのか。関係者に取材した。

写真●横浜市ホームページ内の「緊急速報メール」の案内
写真●横浜市ホームページ内の「緊急速報メール」の案内
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 横浜市は、住民に災害情報などを伝える「危機管理システム」を2009年から運用している。総務局危機管理室で注意喚起などのテキストを打ち込めば、電子メールや放送など様々な経路で一斉同報できる。

 その経路の一つが「緊急速報メール」である。各携帯電話事業者の広域メール配信サービス(NTTドコモの「エリアメール」など)を通じて該当地域に所在する人にメールが配信される(写真)。

対象地域にいる全ての人に配信

 広域メール配信サービスでは、横浜市内の対象地区にいる人全てにメールが送られる。横浜市に住んでいても、配信時に市外にいる場合は送られない。このため正確な配信メール数の把握は難しいが、横浜市の人口は約370万人なので、対象地区にいた人は相当数に上るとみられる。

 折しも、前週の2014年10月6日に台風18号が通過しており、横浜市内では土砂崩れが原因で2人が死亡したばかりだった。切迫感もあり、メール配信直後から市のWebサイトにアクセスが殺到した。

 Webサイトには、土砂災害の危険箇所を示す詳細な地図を掲載していた。このデータ容量が大きいこともWebサイトの混雑を招いた。市民から見るとWebサイトにほとんどアクセスできず、事実上ダウンした状態に陥った。