米国で2016年11月8日(米国時間)、全米各州で大統領選挙の投票・開票が行われ、9日(同)、第45代合衆国大統領に共和党のドナルド・トランプ氏(70)が就任する見通しとなった。トランプ氏は実業家で不動産会社やカジノホテルなどを経営。政治経験はない。

写真:AP/アフロ
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 これまでの選挙活動でトランプ氏は、自由貿易体制に批判的な発言を繰り返しており、環太平洋経済連携協定(TPP)にも否定的。同盟国との関係見直しを主張している。開票時の金融市場で円高、株安が進むなど、トランプ氏就任による経済への影響は大きいとみられる。

IT企業トップが談話を発表

 こうした今後の経済見通しを不安視する動きは、IT分野でも広がっている。大手IT企業のトップが、トランプ氏当選を受けてコメントを発表した。

NTTデータの岩本 敏男代表取締役社長
「Brexit以来、今年2回目のサプライズではあった。米国は日本の最重要パートナーであり、最大のIT市場でもあるので、引き続き米国政策変化に伴う北米ビジネス、並びに弊社ビジネスへの影響を注視していきたい。この変化に適応しながら、北米を含めたグローバルビジネスを拡大する方針は継続したい」。

野村総合研究所(NRI)の此本 臣吾代表取締役社長
「トランプ氏の勝利は、米国内で格差や分断、移民問題等への不満の声が予想以上に高まっていることを強く印象づける形となった。Brexitに舵を切った英国に続き、先進国内で内向きの機運が静かに深く蔓延しつつあることが示された。(トランプ氏が)選挙戦での過激な発言内容をどの程度、現実の政策として打ち出してくるか。このことが日本を含め世界に与える影響は計りしれない。(主要国のリーダーシップが機能しない)『Gゼロ』の不安定な世界が予想よりも早く訪れることになる」。