不動産業界が今、ITとのかけ算で今までに無い斬新なサービスを生み出そうとする「不動産テック」に沸いている。ベンチャー企業に続き、大手ネット企業が相次ぎ活用を表明。ヤフーなどが不動産会社を介さずマンションを売買できるサービスを開始。グリーも、住宅探しやリフォームの情報をマッチングするサイトを開設した。40兆円規模とされる不動産市場は情報格差が大きいとされてきた。不動産テックで情報の流れがスムーズになれば、取引活性化につながりそうだ。

 「個人が持つ資産の中で、一番大きいのは不動産。ITを活用し、個人が法人と同じ不動産情報を得られる環境作りに挑戦する」。2015年11月5日、ヤフーの宮坂学社長は不動産売買サービス「おうちダイレクト」発表会見で、こう意気込みを述べた。

画面1●当初の売り主向けサービスに続き、11月16日には買い主向けサービスも始める
画面1●当初の売り主向けサービスに続き、11月16日には買い主向けサービスも始める
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 おうちダイレクトは、ヤフーがソニー不動産と共同開発した不動産売買サービスだ(画面1)。マンションの所有者(売り主)と購入を希望する買い主をマッチングする。

 特徴は不動産会社を介さず、売り主と買い主を直接結びつける点にある。売り主は所有するマンションの情報を同サイトに掲載して売りに出す。売り出し価格は売り主が自由に決められるため、「マンション売却の選択肢が広がる」(宮坂社長)。一方買い主は、気に入った物件の売り主に対して同サイトを通じて直接質問したり物件見学の依頼を申し込んだりできる。