「ガラケー」と呼ばれて長年親しまれてきた、従来型のOSを搭載した折りたたみ型の従来型携帯電話が、いよいよ店頭から姿を消しつつある。NTTドコモは2016年11月2日、11~12月をメドに出荷を終了し、店頭在庫限りで販売も終了すると発表した。KDDI(au)とソフトバンクも当面は従来型ガラケーの販売を継続するものの、店頭やオンラインショップの在庫が少なくなっている。スマートフォン(スマホ)に続き、折りたたみ型の携帯電話も近いうちにAndroid搭載機に集約されそうだ。

NTTドコモが2015年11月に発売した「P-01H」。従来型OSを搭載した折りたたみ型端末として最後の製品となった
NTTドコモが2015年11月に発売した「P-01H」。従来型OSを搭載した折りたたみ型端末として最後の製品となった
(出所:NTTドコモ)
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 NTTドコモは、LinuxやSymbian OSなど従来型OSを搭載した折りたたみ型端末を「iモードケータイ」という名称で販売していたが、2015年11月発売の「P-01H」を最後に新機種を発売していない。従来型OSや「iアプリ」などを実行できるチップセットをはじめ、従来型携帯電話向けの部材供給は順次終息しており、在庫部品を使い切った段階で量産できなくなることが既定路線となっていた。

 NTTドコモなどの通信事業者にとっても、iモードケータイからスマホへの移行を進め月々の利用料の単価(ARPU)の引き上げを図りたいとの狙いがあるほか、中長期的にはサービスとしてのiモードや、iモードケータイで採用している第3世代携帯電話サービスの巻き取りを視野に入れる必要が出てくる。こうした状況を踏まえNTTドコモは、OSにAndroidを搭載した折りたたみ型端末を2015年の夏モデルから製品化し、移行を進めていた。

 同社は「サービスとしてのiモードは今後も継続するので、お客様が今お使いのiモードケータイは今後も問題なく利用できる。iモードケータイの後継として、Androidを搭載した折りたたみ型の『spモードケータイ』のラインアップを増やしている。使い勝手はiモードケータイと変わらず、機能は向上している」(NTTドコモ)として、iモードケータイの出荷を終了しても支障はないとしている。

 ドコモの製品ラインアップには、P-01Hのほか「N-01G」「F-07F」の計3機種が「発売中」として掲載されているが、11月2日夕方時点ではほぼ全機種・全色が「在庫なし」となっている。なお、法人向けには「個人向けとは別に在庫を確保している」(NTTドコモ)といい、当面は法人営業経由で購入可能としている。またシニア向け端末「らくらくホン」は、iモード対応の機種も当面出荷を続けるとしている。

 KDDIとソフトバンクは従来型OSを搭載した折りたたみ型端末を、引き続き現行モデルとしてラインアップしている。KDDIは「GRATINA 2」「MARVERA 2」など4機種が従来型OSを搭載しており「現行モデルとして引き続き量産している」(KDDI)、ソフトバンクは「COLOR LIFE 5 WATERPROOF」「THE PREMIUM 10 WATERPROOF 301SH」「かんたん携帯8」の3機種が従来型OSを搭載しており「量産しているか否かは明らかにしていないが、販売を継続している」(ソフトバンク)とする。

 とはいえ2社もNTTドコモと同様、折りたたみ型端末の最新モデルはAndroid搭載機になっている。従来型端末の販売については、KDDIはオンラインショップでの販売を終了しており、ソフトバンクも「店舗によっては取り寄せになるかもしれない」(ソフトバンク)といい、近隣店舗の状況によっては購入が難しい場合もありそうだ。