米オラクルと米マイクロソフトが2017年10月から12月にかけて相次ぎ、データベース(DB)ソフトの新版の提供を始める。オラクルは新版の「Oracle Database 18c」で「データベース管理者不要」を打ち出し、運用の自動化を進める。マイクロソフトは「SQL Server 2017」で、初めてLinux版を用意した。いずれも「Oracle DBの管理にはノウハウが必要」「SQL ServerはWindowsでしか動作しない」といった、これまでの「常識」を打ち破る製品だ。

 オラクルが2017年12月に提供を始めるOracle DB 18cは、5年振りのメジャーバージョンアップとなる。18cの目玉は、「自律型DBであることだ」とオラクルのラリー・エリソンCTO(最高技術責任者)兼会長は強調する。機械学習機能などを利用して、パフォーマンスの最適化やプロビジョニング、パッチの適用、バージョンアップなどを、自動実行する。

 オラクルが18cで目指すのは、「人手での運用を不要にする」(エリソン氏)ことだ。エリソン氏は「運用時にミスが発生するのは、人間が作業するからだ。データベースを自律型にすることで、人的なエラーを削減できる」と強調。「データベース管理者は、データ分析やセキュリティ管理者などの知識を身につけるべき」とまで言及した。現行のメジャーバージョンである「12c」からバージョン番号が一気に6つアップし、新世代のDBを印象付けた。

18cでクラウドシフトを加速

 Oracle DB 18cは、PaaS(Platform as a Service)「Oracle Autonomous Database Cloud」として、クラウド版から提供が始まる。18cのオンプレミス向けは、「提供する見込みだが、詳細はまだ分からない」(日本オラクルの佐藤裕之クラウドプラットフォームソリューション統括Cloud Platformビジネス推進本部長)状況だ。

 Oracle DB 18cが自律型であるとともに、これまでのOracle DBと異なるのは、OLAP(オンライン分析処理)向けとOLTP(オンライントランザクション処理)向けに機能を分けている点だ。OLAP向けの「ウェアハウス・ワークロード」の提供を2017年内に始め、2018年5月までにOLTP向けも開始する計画だ。

 OLAP向けから提供が始まる理由について、日本オラクルの佐藤本部長は、「OLAP向けのほうがOLTPよりも、用途が想定されるので運用の自動化が進めやすいため」と説明する。「自動車の自動運転と同じ発想だ。高速道路では自動運転を実現しやすいが、条件が複雑な市街地では自動運転は難しい。OLAPで経験を積み、OLTPに展開することを目指している」と佐藤本部長は話す。当初はOLTP版とOLAP版に分かれるが、将来的には統合する可能性が高いと見られる。