エンタープライズ系のSI(システムインテグレーション)であれ、一般消費者向けのスマホアプリ開発であれ、見た目すなわちUI(ユーザーインタフェース)の重要性が高まっているのは同じだ。ニーズの高まりを受け、画面プロトタイプを作成するツールが相次ぎ登場している。

 NECが2014年9月25日に販売を開始したのは、エンタープライズ系のSI用途を狙った「SystemDirector Enterprise V8.3」。一方、UI/UXのコンサルティングを手掛けるグッドパッチは10月1日、スマートフォン(スマホ)向けのアプリやWebサイトのプロトタイプ開発用ツール「Prott」の提供を始めた。両者は特徴も機能も全く異なるが、どちらも見栄えの良いUIを効率よく開発できることに主眼を置くツールである。

SystemDirector Enterprise
画面と同時に設計書を自動生成

 SystemDirector Enterprise V8.3は業務システム向け統合開発環境の最新版。今回の一番大きな強化点が、画面プロトタイプの作成機能だ。「画面はユーザーからの要望によって、手戻りが発生しやすい。動く画面を早期にユーザーに見せて修正を繰り返し、上流で画面を確定させることで全体の工数を低減できる」とNEC SI・サービス技術本部の小林茂憲シニアエキスパートは説明する。

 SystemDirector Enterprise V8.3を使った、実際の画面プロトタイプの作成手順は以下のようなものだ。

テンプレートの改変で開発

 まず画面の遷移をフローチャートで規定する(写真1)。

写真1●画面遷移の設定
写真1●画面遷移の設定
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 SystemDirector Enterpriseは、フローチャートの作成を効率化するテンプレートを用意している。「参照系遷移(2画面遷移)」「登録系遷移(3画面遷移)」といったものだ。「参照系遷移(2画面遷移)」であれば「一覧画面→詳細表示画面」といった流れを、「登録系遷移(3画面遷移)」であれば「一覧画面→登録画面→確認画面」といった流れを採る。作成したい画面がテンプレートの中にあれば、それを選択する。

 次に、画面レイアウトを設計する。画面遷移でテンプレートを選択した場合、画面レイアウトについても「画面テンプレート」が自動で選択される。一覧画面であれば「一覧画面テンプレート」が、詳細画面であれば「詳細画面テンプレート」が選ばれる。このテンプレートに対して、画面の部品を追加・削除して画面を設計していく。

 画面の部品として「テキストエリア」「チェックボックス」「ラジオボタン」などがあり、設計画面上でドラッグ&ドロップで配置できる(写真2)。

写真2●画面レイアウトの設定
写真2●画面レイアウトの設定
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 この時点でJavaScriptのコードを記述することもできる。設計画面からは随時、Webブラウザーからの表示(プレビュー)を確認できる。