日新製鋼は、将来的にはタブレット端末へのアプリケーション配信も検討している(写真はシトリックス・システムズ・ジャパンによる配信デモ)
日新製鋼は、将来的にはタブレット端末へのアプリケーション配信も検討している(写真はシトリックス・システムズ・ジャパンによる配信デモ)
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 従業員約6600人を抱える日新製鋼グループは、2015年3月までに約4700台のPC(パソコン)をシンクライアント化する。メールソフトやOfficeソフト、業務用アプリケーションをサーバー上で稼働させ、その画面をシンクライアント端末に送信、端末上で操作する仕組みに変える。これにより、場所を問わずにメール閲覧や電子決済などの業務ができる。さらに、災害などの緊急時でも、従業員の安否や取引先の被災状況を迅速に確認できるようになるという。

 シンクライアント化するのは、社内業務システムを利用するための約4700台のPC。「Internet Explorer 8」、「Notes9」、「Office」、ホストエミュレータなどの業務アプリケーションを、Windows Server 2008 R2を載せたサーバー40~50台で稼働させる。配信サーバーは西日本、東日本の両データセンターに配置し、米シトリックス・システムズのアプリケーション配信ソフト「Citrix XenApp」でPCに画面を配信する。従業員ごとに個々のアプリの利用許可を設定し、従業員はシンクライアントソフト「Citrix Receiver」を通じてPCやシンクライアント専用端末でアプリを利用できる。将来はタブレット端末への配信にも対応させる考えだ。

生産管理システムよりメールの復旧が最優先

 「きっかけは東日本大震災だった」。シンクライアント化に踏み切った理由について、日新製鋼の岡田洋PI推進部長はこう語る。

 同社のBCP(事業継続計画)ではこれまで、生産管理や会計といった基幹系システムを最優先に復旧させることに焦点を当てていた。だが、東日本大震災では、多くの従業員がオフィスに出社できず、社内PCでメールを確認できなくなったという。