企業による健康管理システムの導入が進んでいる
企業による健康管理システムの導入が進んでいる
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 日立製作所が、従業員の健康情報を一元管理でき、産業医・保健師の業務を効率化する「日立グループ従業員健康管理クラウド」を本格稼働させた。まず2014年4月に日立グループ20社3万2300人で運用を始め、10月1日時点では36社7万2700人に拡大させた。2015年3月末までに、38社7万5100人に適用する計画だ。

 今回のシステム導入は、グループ横断で業務効率化を目指す「日立スマートトランスフォーメーションプロジェクト(スマトラ)」の一環である。日立ソリューションズが開発、外販している「従業員健康管理クラウドサービス」を日立グループ向けにカスタマイズした。同サービスはトヨタ自動車北海道などに導入例があるが、日立グループ自身が大口ユーザーとなることで、販売を促進させる狙いもありそうだ。導入費は日立グループ共通の人事管理システムとのつなぎ込みなどを含め、本誌推定で1億円前後とみられる。

 法定の定期健康診断や、会社の補助金による人間ドック受診などで得た従業員の健康情報を、単一のデータベースに集約。産業医は、このデータベースをもとに検査値の5~10年にわたる変化を確認し、従業員に適切なアドバイスを行える。これまでは健診データは各グループの事業所が管理しており、転勤などに際して過去のデータが引き継がれない、紙ベースのため時系列で検査値をチェックしにくいなどの問題があった。

 日立製作所は、従業員の定期健診データをスムーズに集約するため、これまでグループ各社の事業所が個別に実施していた健診機関との契約を、日立グループの健康組合である日立健康保険組合に一本化。その上で、契約した健診機関に検査データのデジタル納入を要請した。これまでは、現行法で健診データのデジタル化や標準フォーマットについて規定がないこともあって、検査結果を紙ベースで納入する健診機関が多く、データの集約が難しかったという。必要に応じ、データのフォーマット変換や紙情報のデジタル化も行う。