ハウステンボスが、利用時に指紋で本人認証するデジタル通貨を園内に導入する(写真1)。ベンチャー企業リキッドの指紋認証技術を活用、ICカードを不要にした点に特徴がある。利用者は、不正利用を心配せずに財布を持ち歩くことなく飲食や買い物ができる。セキュリティを担保しつつ客の利便性を向上できるとあって注目を集めそうだ。

お会計時に指紋をかざすだけ

 園内通貨の名称は「テンボス通貨」。まずハウステンボス年間入場会員約5万人を対象に、10月31日に運用を始める。当初は園内に60~70店舗ある飲食店や土産物屋のうち約30店舗に導入(写真2)。利用状況をみながら順次、導入店舗を広げる意向だ。

写真1●指をタッチするだけで支払いが終わる(リキッド提供の利用イメージ)
写真1●指をタッチするだけで支払いが終わる(リキッド提供の利用イメージ)
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 テンボス通貨の実体は前払い式の電子マネー。利用者はハウステンボス近くのホテルや園内の入り口などに設置されたスペースで、まず指紋を登録する。次いで現金を担当者に渡し、相当額をテンボスにチャージする。

 1テンボスは1円相当。テンボス利用を促す目的で、円からテンボスへの交換レートは高めに設定してある。5000円をチャージすると5250テンボス、1万円だと1万600テンボスなど。実質的に園内での買い物が割り引かれる仕組みだ。ただしテンボスから円に戻すときには、テンボスに変換した際の増額分が円に換金されない仕組みを講じる。レートを1テンボス=1円に固定し、増額分は手数料として差し引く、といった手法を検討している。

 店舗には指紋読み取り装置を接続したタブレットを設置する。指紋をはじめとする利用者に関する情報や残高・利用履歴といったデータは、全てリキッドが運営するクラウドで一元管理する。