2017年秋に予定しているマイナンバー制度の情報連携の本格運用について、内閣官房が自治体などに11月13日に開始すると通知したことが関係者の話で分かった。ただ、内閣官房は「自治体などに準備を求めるため通知したもので、正式決定は別のタイミングになる可能性もある」と説明していて、実際にはさらに遅れる恐れもある。

 マイナンバー制度では、情報連携によって国や自治体などの異なる行政機関、健康保険組合、後期高齢者医療広域連合などの間で、専用の情報提供ネットワークシステムを使って住民情報をやり取りできる。これまで行政手続きのため住民に求めていた住民票など添付書類の提出が不要になるという触れ込みだ。

データ連携に不備も

 しかし本格運用の開始時に実現する情報連携の中身は、当初の構想よりも後退したものになりそうだ。情報連携に必要なデータや運用ルールの整備がまだ完了していないためだ。

 内閣府は2017年10月、同年7月から始まった情報連携の試行運用を踏まえて、9月時点で自治体での児童手当や介護保険の申請など940の事務手続きで添付書類の省略が可能と公表した。ところが、本格運用によって、これらの手続きですべての添付書類がただちに不要になるわけではない。

図●マイナンバー制度の情報連携(本格運用)に伴い省略可能な書類の例
図●マイナンバー制度の情報連携(本格運用)に伴い省略可能な書類の例
(出所:内閣府)
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 例えば児童手当の申請では、市町村に提出する課税証明書の添付が省略できるようになる。しかし、住民票の添付が省略できるのは2018年7月以降になる見込みとしている。

 保育園や幼稚園などの利用認定の申請でも、市町村に提出する児童扶養手当証書などは不要になるものの、課税証明書の添付が省略できるのは2018年7月以降となる見込みという。

 添付書類が不要となる時期が2018年7月以降となっている理由は、情報連携に必要な「データ標準レイアウト」や運用ルールの整備が完了していないからだ。マイナンバー制度で情報連携するには、事務手続きに必要なデータ項目などを定めたデータ標準レイアウトがそろう必要がある。