【ニュース解説】

システム刷新に失敗した京都市、ITベンダーと契約解除で訴訟の可能性も

井上 英明=日経コンピュータ 2017/10/12


 京都市は2017年10月11日、NEC製メインフレームで稼働している基幹業務システムの刷新プロジェクトについて、バッチ処理プログラムの移行業務を委託していたシステムズ(東京・品川)との業務委託契約を解除したと発表した。作業の遅れで京都市は既に稼働時期を2017年1月から2018年1月に延期していたが、それがさらに遅れて2020年になる見込みである。新システムの稼働時期は、当初予定よりも3年以上の遅れとなりそうだ。

システムズとの契約解除を公表した京都市のWebサイト
(出所:京都市)
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 京都市は2014年から81億円を投じて、国民健康保険や介護保険といった福祉系のほか、徴税、住民基本台帳の管理など18業務を担っている基幹系システムの刷新プロジェクトを進めてきた。現行システムは30年前に稼働し、COBOLで構築している。

 既に京都市は、福祉系のオンライン処理の刷新を予定通りに終了させている。地場のITベンダーなど5社が落札し、COBOLプログラムをポルトガルのアウトシステムズ製の超高速開発ツール「Outsystems Platform」を使って刷新した。

バッチ処理のマイグレーションテストで見解が相違

 ところが、福祉系のバッチ処理の移行作業が進まなかった。NECのCOBOLプログラムを英マイクロフォーカスのCOBOLプログラムに変換(マイグレーション)する際のテスト手法などについて、京都市とシステムズの見解が一致しなかったからだ。システムズは2016年1月15日に移行業務を落札。落札額は予定価格の79%である11億376万円だった。

 京都市は2016年11月14日に市議会で稼働遅延を報告。2017年1月23日に門川大作市長が稼働延期を説明し、第三者の専門家による「検討委員会」が原因究明と今後の方策検討に当たると表明した。検討委員会は2017年6月に調査報告書を市に提出。現場の移行作業は2017年7月24日に京都市からの申し入れで停止している。

 調査報告書を受けて、京都市は「円満な解決の可能性を探るため」(公表資料)に、システムズと2017年8月と9月に面談。だが、作業再開に当たって京都市がシステムズに要請した3条件を合意できなかった。具体的には「現在の契約金額の範囲内で完成させる(追加費用を支払わない)」「遅延による京都市の損害を賠償する(金額は別途協議)」「システムズの負担で、京都市が承認しうるプロジェクト管理業者を選定して開発体制を構築する」というものだ。

 京都市は「遅延の根本的な原因に対する見解に大きな乖離があり」(公表資料)、システムズとの協議によって解決するのは困難と判断。2017年9月22日には2週間以内に債務を履行しなければ契約を解除する旨の催告書をシステムズに送ったが、債務が履行されなかったため2017年10月11日に契約を解除した。

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