写真1●三菱UFJフィナンシャル・グループのCDO(最高データ責任者)を務める加藤昌彦執行役員
写真1●三菱UFJフィナンシャル・グループのCDO(最高データ責任者)を務める加藤昌彦執行役員
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 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は2014年10月1日、最高データ責任者(CDO)のポストを新設した。狙いは、「グループ全体のデータ収集・分析体制を整え、リスク管理能力を向上させること」(MUFG広報)と言う。つまり、金融機関にとっての本業強化だ。

 初代CDOには、MUFGの事務・システム企画部副担当を務める加藤昌彦執行役員が就いた(写真1)。CDOの設置は国内金融機関では初めてのことという。

 データを集める対象は、MUFG傘下の三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJ証券ホールディングスなどである。各社が保持する取引先の与信リスクや市場リスクなどに関するデータを一元的に収集・分析する体制を整え、グループ全体のリスク管理を強化する。

 MUFGが今回設置したCDOの果たす役割は、マーケティングの高度化ではない。同社のCDOは、商業銀行、信託銀行、証券会社といった異なる業態から、信用リスク(取引先の財務状況など)や市場リスク(金利・為替など)を集約・統制する。統合的に管理したリスク関連データは、同社の最高リスク管理責任者(CRO)がリスク軽減策の立案に役立てる。

 加藤CDOは、リスク関連データだけでなく、商業銀行、信託銀行、証券会社の投下資本利益率(ROI)や株主資本利益率(ROE)といった財務データも集約し、一元管理する。これらを、最高財務責任者(CFO)に報告する役割も担う。