日清食品ホールディングス(HD)は2017年9月8日、東日本旅客鉄道(JR東日本)と共同開発した「経費精算システム」の外販を始めたと発表した。特徴はクレジットカードや交通系電子マネーのSuicaを使った決済履歴を自動的にシステムに取り込める点。両者に対応するサービスは珍しい。

経費精算システムの画面
経費精算システムの画面
(出所:日清食品ホールディングス)
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 同システムは、日清食品HDが社内システムとして長く運用してきたもの。2011年から2016年にかけてグループ主要7社に順次導入し、約1200人の経費精算を自動化してきた。

 経理部門の確認作業も減り、合計で年間約8300時間の労働時間を減らす効果が出ているという。これとは別に、立て替え払いした社員への銀行振込手数料など、年間4100万円のコストを削減する効果もあった。

 今回、利用が定着したのを踏まえて外販に踏み切った。経費精算システムには多くのIT企業が参入しているが、日清食品HDはSuicaシステムとの連携や利用定着のノウハウを武器に、他社への売り込みを図るという。外販先第1号として、既にキユーピーが利用を始めている。

CFOがJR東に直談判

 日清食品HDは経費精算業務のムダを省くため、2011年以前に社員向けのコーポレートカードを導入していた。出張時の新幹線代やタクシー代、交際費などの決済履歴を経費精算システムが自動的に取り込む仕組みだ。

 ただ、コーポレートカードでは社員の多くが日々使う電車代を支払えない。「労働時間の削減効果が頭打ちになった」と横山之雄取締役CFOグループ財務責任者は振り返る。