プログラミング教育市場がにぎやかだ。2020年度からの小学校での必修化を前に、小学生向けプログラミング教育ツールが急速に充実し始めている。以前から広く使われている「Scratch」をはじめ、様々なITベンダーが新製品を投入。その多くは、ロボットを動かす、自作のキャラクターを使ったゲームを作るなど、子どもの創造性を刺激して興味を高める工夫をしている。

 新日鉄住金ソリューションズが2017年9月22日に発表した「K3Tunnel(ケイサントンネル)」は、こうしたツールとはやや趣が違う。「今のプログラミング教材は、クリエイティブな分野に偏っている。もちろんそれも必要だが、現実社会で使われているプログラムの世界はもっと泥臭い。現状の教材だけで、その世界の面白さを理解できるのか」。同社 金融ソリューション事業本部 市場系ソリューション事業部 エキスパートの今野奈穂子氏が抱いていたこんな“違和感”から、K3Tunnelは生まれた。

「計算」を学べるビジュアルプログラミングツール

 K3Tunnelは、「計算」に関連するテーマを題材にプログラミングを学ぶ学習ツールだ。ブロック型のアイコンを組み合わせることで、数値シミュレーションを実行する。ネズミ算や鶴亀算といった計算式なら、10個程度のブロックの組み合わせで実現できる。グラフや表を作成する機能も充実させている。

K3Tunnelで、ネズミ算を実行するプログラム
K3Tunnelで、ネズミ算を実行するプログラム
(出所:新日鉄住金ソリューションズ)
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 身近な課題を「ミッション」として用意し、それを解いていくことでプログラミングを学べる仕掛けもある。ミッションの一つが、組み合わせ最適化問題を題材にした「家電買いかえ大作戦」。父、母、小学生のたかしくんの3人家族が、掃除機とクッション、ホームベーカリーを買い換えることになった。予算内で、機能や値段の異なる商品をどのように組み合わせれば、家族全員の満足度が高まるか。この課題に対する答えを導き出すことを目指す。